生まれた頃から障害があるとこれが当たり前になっています。
人とちょっと身体が違っているとしか思わず、ずっと健常者と同じ事をこなしたつもりです。
しかし、胸のうちでは「どうして私にはできないのだろうか?
どうすればできるようになるのだろうか…」と考えていました。
障害があるからできないのが当たり前なのに、自分では何でもできると思っていました。
両親からも障害があるから…といって他の兄弟に比べると甘やかされて育てられたように思います。
小学生の時、走ってもビリなのに運動会は楽しみでした。
ビリで走るのは恥ずかしかったのですが何故かワクワクしていた気持ちを忘れる事ができません。
一度だけ夢の中で、ビッコも引かず普通に歩いている夢を見ました。
一度もビッコを引かずに歩いた事がない私にとって最高の夢でした。
周りの友達から障害の事でいじめられた事は一度もありません。
しかし、小学校低学年の時、担任の先生には、いじめられていました。
障害があるから何もできないとまで言われていました。
今、こういう事を言う先生がいるとすれば大問題になると思いますが、
当時は当たり前だったのかもしれません。
私がみんなと一緒に遠足に行ったのは、小学5年生の時でした。
それまで遠足の日は、とりあえずリュックに弁当、おやつも入れて学校へ登校していました。
いざ、みんなが遠足へ出発すると同時に一人で家へ帰らなければいけませんでした。
とても寂しい思いをしました。
なぜ、5年生になって初めて遠足に行けるようになったのかと言うと、
その当時の担任の先生がおんぶしてでもみんなと一緒に遠足に連れて行きたい
と言われて実現したのです。
ゆっくりしか歩けませんでしたが、何人かの友達も一緒に歩いてくれて…
その時初めて遠足に行く事ができたのです。
あの時、「歩けた」という達成感はいつまでも記憶にあります。
また、周りの優しさも知ることができました。
できなくて当たり前が身体障害者かもしれませんが、
出来なかったと思っていた事が出来たとわかった途端、
たくましくなっていくのは身体障害者かもしれません。
身体障害者手帳は小さい頃から持っていました。
手帳を持っていることで何が得になるのかわかりませんでした。
が、将来の事を考えた上で親が申請してくれたのだと思います。
実際、身体障害者手帳を持ってよかったと大人になってから思うようになりました。
どんな形であれ今、自分の足でかろうじて歩けているのは幸せだとつくづく思います。
一度は足の手術まで話があったようですが、
もしかすると一生歩けなくなるかもしれない、手術してみないとわからないとまで言われて、
このままでもいいかとなりました。
年齢を重ねていくたびに今までできていた事が段々と出来なくなってきています。
健常者も年をとると出来ない事が増えてくると思いますが、
障害者は健常者に比べ10年早く老化現象がでるとも言われています。
私もだんだん出来ない事が増えてきているような気がします。
日々、今出来る事、今やれる事を自分でやろうと思いながら生活しています。