障害年金申請のための申立書について

障害年金の申請をする時に欠かせないのが申立書です。

これは障害が発生してから今までの間の歴史を年代別に記入するものですが、

もちろんその障害がいつ発生したによって、書く時の大変さが大きく異なります。

 

私が申立書の記入を手伝ったものの中で一番簡単だったのは、

事故による怪我の後遺症による障害です。

誰の目から見ても障害があることが明らかだからです。

 

一番大変だったのが、既に成人して、長く時間が経っている方の障害申請でした。

幼少期から、少し勉強が苦手で、忘れ物が多くて、クラスのみんなに冷やかされて、

学校の先生や検診に来るお医者さまから何度も

「病院に行って検査して、特別支援学級に行った方がいい」と言われてきたのに、

お父さんは「うちの子はちょっと勉強が苦手で恥ずかしがりやで友達がいないけど、普通の子です」

と言うので、検査も受けず、普通学級で過ごしてきたこの方ですが、

小学校の高学年になる頃には学校に行っただけで

「忘れ物大王!」とはやし立てられるので学校に行けなくなりました。

 

そのまま中学校に行き、名前を書くだけで入れる高校に入学させてもらい、

18歳になるまでの間に学校に行ったのは始業式と、終業式と、修学旅行だけ。

たまにお友達になってくれる人はいましたが、

結局は上手くいかずにけんかして、すぐに離れていきました。

 

高校を卒業する前に就職先を探してもらおうとしましたが、

学校に来ていないからもちろん先生から斡旋してもらえず、

結局は高校卒業後も家に引きこもって過ごしてきました。

 

お父さんが病気になって、「これはまずいぞ」と一念奮起して仕事を探しに行きましたが

やはり続かず、どうしようもなくなって、障害年金の申請をしようとしましたが

長年家の中に引きこもって暮らしてきたので受診歴がなく、

幼少期に一度でも知能検査を受けていれば違ったのですが、

知能検査どころか病院にかかったこともないので診断書を書いてくれる病院もなく、

周りの人が「この子は知的障害だと思うんだけど」と話すのに診断してくれる病院もありません。

 

こういう時、小学校の記録を確認させてもらったり、

担任の先生の中でこの方のことを覚えている方を探すのですが、

保管期限が過ぎてきて見つかりませんでした。

成績を証明する通知表も、「こんなのみたくない」と毎回捨ててきたので残っていません。

 

「せめて小さい頃に、先生達の言う通りに病院に行っていれば良かった。」

と悔やみながら何度も障害年金事務所と周囲の病院を行ったり来たりして、

結局車で2時間以上かかる病院でようやく知的障害の診断を書いて頂けました。

 

知的障害は知能検査だけで出来る。

と思っている方、実はそんなに簡単ではなく、

大人になってからの障害認定は大変なこともあります。

 

「子供のうちに診断を受けて、将来が決まるとかわいそう」

と言われるお母さんもいらっしゃいますが、

将来ご両親が働けなくなってから、その子を支えるのは障害年金です。

 

正確な診断は将来予想外の所で役に立つことがあります。

子供の障害で、将来の生活設計に迷っておられる方は、

こういう例もあると思って思い出していただけると嬉しいです。



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