福祉用具はこれまで、福祉機器や介護用品などと
様々な用語で呼ばれてきました。
本来、福祉用具は障害者や高齢者のために生み出されたものであり、
なくてはならない物のはずなのですが、高齢者に福祉用具のイメージを尋ねると、
「ああいうもののお世話にはなりたくない」だとか、「使いたくない」といった声が聞こえてきます。
その理由は、テレビや介護ショップなどで見る介護ベッドや車椅子、
簡易浴槽などを目にするうちに、なんとなく暗い気持ちになるからではないでしょうか。
「身体が不自由になったらこんなもののお世話にならないといけないのか・・・」
という感想を持つ人がほとんどかもしれません。
福祉用具は、ほとんどがこれまでの生活の中では馴染みのない道具ばかりです。
そのためか、仰々しさばかりが目に付いて、
なかなか積極的に使ってみたいという気持ちになれないのです。
そこで必要になるのが、「暮らしの実感」です。
例えば、「この介護ベッドを使えば、布団よりもずっと楽に起き上がれる。
起き上がれば居間でお茶を飲んだり、外に散歩に行くことができる」
そういう暮らしの実感のようなものが、何よりも大切になるのです。