私は生れつき右足を脱臼していました。
当時のことなので医療的に進んでいた訳ではない為、石膏で固めて固定期間を施したぐらいで、
完治するまでの治療にはならなかったとのことです。
そんな状態で乳児期を経た私ですが、その後は順調に過ごせていました。
ですが20代後半の時、私は右足の不調に気付きました。
足を組む時に股関節が痛むのです。
おかしいなあと思い病院で診察をしてもらうと股関節が変形している病気だと告げられました。
しかもこのまま放っておけばいつか歩けなくなる可能性もあり、
車椅子生活になることも十分に考えられるとまで言われてしまいました。
骨が削れて足の長さも変わっていたものですから、
申請すれば身体障害者として認定されると言われたのですが、
仮に認定されたとしても最低級になるので特別なメリットはないとのことでした。
そんな訳で私はあれから20年近くもの間、足に不自由を感じながら、
身体障害を持ちながら健常者として生活をしている状態です。
正直言って、なぜ股関節の変形程度の障害では障害度が一番低いと診断されてしまうのか、
いまだに疑問が残ります。
実際、私の周りでも股関節の変形が原因で障害者認定をされた人は知りません。
それだけ障害の中でもかなりの軽度障害と思われているのでしょうね。
私にはどうしてもそれが腑に落ちないでいます。
股関節が上手く使えず、しかも足の長さも違うとなると、歩行は相当困難ですし、
見た目にも足を引きずり、周囲に対しても良い印象を与えません。
しかし大っぴらに障害者としての認定を受けていないものですから、
世間はとろい人、鈍くさい人、運動神経のない人、といった類の評価を私にしてくるようになりました。
時に具合が悪いのですかと聞かれることもあり、私は自分の抱えている障害があるのにも関わらず、
人に伝えてもわかりにくい障害を話すことにためらってしまっていました。
発症したのが若い頃だったので身体障害者として偏見を持たれるのが怖かったのだろうと思います。
今の時代であれば身体障害者に対する理解も当時よりは深まっているように感じられるので、
周囲に公表をすることができたかもしれません。
そして周囲の理解を得ながら仕事に貢献することができたかもしれません。
私と同年代の方で同じような障害を経験している人は、
きっと私と同じ感覚で過ごしてきたのではないかと思います。
これからは障害があることを遠慮せず、周囲の理解と協力を得られる社会がもっと確立されるように、
自らが見本となっても良いのではないかと感じています。