身体障害者の雇用問題と聞いても、
いまひとつピンとこない健常者も多いものです。
しかし、思わぬ病気や怪我で、
誰もがいつ障害者になったとしても不思議ではないのです。
障害があっても自立した生活を送るために
収入を得る必要があるのはもちろんのこととして、
働くことによって得られる精神的な充足感や人間関係など、
金銭面以外でのメリットも非常に大きいものです。
残念なことに、障害があることを理由に
就労の機会が限られてしまいがちな現実がありますが、
すべての人が自尊心を持って生き生きと暮らせる社会を
目指していくべきであることは言うまでもありません。
ノーマライゼーションの考え方が浸透してきている今、
身体障害者の社会参加を促すべく、
数々の積極的な取り組みが行われています。
そのひとつが、身体障害者の雇用のきっかけ作りを狙ったトライアル雇用です。
企業や商店などの事業所に身体障害者を受け入れて能力を発揮してもらうには、
障害の特性についての正しい理解と適切な配慮が欠かせません。
しかし実際には、じゅうぶんな知識や経験、
ノウハウを持っていない事業主が少なくないものです。
そこでひとまず3ヶ月という期間を設けてのトライアル雇用を行い、
その間に身体障害者に対する理解を深めながら、
実際的な雇用のノウハウ作りを進めていくことが狙いです。
トライアル雇用を行った事業者には奨励金が支給され、
事業者にとっての負担やリスクが軽減されるようになっています。