小学校の担任をしていた頃です。
筋ジストロフィーの児童を担任しました。
徐々に体を自由に動かすことができなくなっていく過程での担任でした。
普通の学校でしたが、受け入れることができるように、環境整備から始まりました。
ゆっくりではありましたが、まだ歩くことはできていたので、
最初は、本児のスピードにあわせて教室移動などしていましたが、
徐々にスピードも落ち最後は、車椅子での移動になりました。
教育委員会とも相談して、予算をいただき、スロープを学校に作ってもらいました。
さらに、特別の加配の男性職員の方にもついてもらえるようになり、担任の負担も軽くなり助かりました。
他の子どもたちも理解をよくしてくれて、介助的なこともしてくれました。
私も、筋ジストロフィーについて猛勉強しました。
そこで、以下のようなことが分かりました。
筋ジストロフィーは子供の頃に発症して、だんだん筋肉が弱くなって身体が動かなくなる病気である。
進行性の筋萎縮症候群であるが、その治療法は、まだ分かっていない。
遺伝子の変化によって発症すると言われるが、実際に遺伝とされるのはそのうち3分の1くらいと言われている。
患者は身体が動かなくなることと、喪失感と戦うことを余儀なくされる。
少し前までは筋ジストロフィー患者は20歳までに亡くなるといわれていたが、
人工呼吸器が導入されて、ずいぶんと長生きになってきた。
筋ジストロフィー患者は身体が動かないので、何もできない人たちと思うかもしれないが、そうではない。
ITの発展した現代では、パソコンをつかって仕事や社会参加をしている方も多い。
また、大学院生になり海外留学までする人や、起業された方もおり、多くの可能性を持てるようになった。
筋ジストロフィーは
①身体機能の低下と、
②喪失感をもつ病気である。
歩行ができなくなり、車いすになる。
床ではって動けたのがベッドにのったままになる。
呼吸機能の低下で人工呼吸器をつける。
食べ物を口からとれず、胃ろうチューブなどから栄養を摂るようになる。
身体機能の低下は今の時点では止めることができない。
でも、喪失感は、誰かが機能低下の分支援を増やせれば、喪失感を感じなくて済む方法はある。
そうすれば、いわばこの病気の宿命とでもいうべき、
身体機能の低下と喪失感に希望を失う二重苦と戦うだけの人生から脱することはできる。
筋ジストロフィー患者はこの二重苦から逃れるための具体的な方策は、支援を増やすことである。
身体機能の低下と、社会参加ができないことはイコールではない。
ここまで、読んで、私のやるべきことがはっきりとしてきました。
重たい病をもつ人も生きる場所が選択できるようにし、
自分の意思でその生き方を考えることができるとき、患者は自立できると思えるようになりました。