視覚障害者にとっての白杖は、大空翼君にとってのサッカーボールみたいなもので、
外に出る時は肌身離さず持ち歩くお友達です。
視覚障害者が白杖を持ち歩くのには、大きく分けて二つの意味合いがあります。
1つ目は、アナウンス効果です。
これは視覚障害者が往来を歩く時、周囲の人々に視覚障害者が歩いています
と知らしめるための効果です。
白杖を持ち歩ける者は、障害者手帳を所持する者と道路交通法で定められています。
つまり、白杖を持ち歩いている者は視覚に障害がある事を表しており、
周囲に注意喚起を促す義務を負うということでもあります。
視覚障害者が一人で歩く時は勿論のこと、ガイドヘルパーに同行してもらう時も、
周りに気づいてもらえるように白杖を持ち歩きます。
2つ目は、道の状況を確認するためです。
視覚障害者は、踏み出す足先の状況が安全かどうかを確かめるために白杖を使います。
段差、傾斜、障害物など、杖先から伝わる情報を元に判断していますので、
白杖を上手に扱えるようになると、白杖はたくさんの事を伝えてくれるようになります。
とは言え、等間隔の階段は割りと簡単に歩けますが、
螺旋階段や区切りのないスロープのような所では、内心ドキドキしながら歩いているんです。
視覚障害者が街中で困っている時は、白杖だけでは状況が把握できなかった時が大半です。
視覚障害者にとって大変有意義なイベントが、
毎年11月1日から3日までの3日間、すみだ産業会館サンライズホールで開催されています。
サイトワールドと言う視覚障害者のための総合イベントで、
視覚障害者の生活を豊かにする最新機器や先端技術の紹介、
幅広い利便性を追求したユニバーサルデザイン製品の展示販売、
視覚障害者の生活向上に向けた講演会や最新研究発表など、
それらを1度に体験できる催しです。
2006年から始まった世界でも類を見ない視覚障害者のための総合イベントは、今年で11回目を迎えます。
毎年大盛況で、今年も期待で胸を膨らませた視覚障害者達で会場を埋め尽くす事請け合いでしょう。
私もここ3、4年程参加していますが、
ここで手に入れた骨伝道スピーカー、紙幣や貨幣を識別できるよう7つに仕切られた財布、
音声対応の体重計、血圧計、体温計などは大変役立っています。
触って確かめる立体地図を体験したり、音による流体の位相研究などの学術発表を聞いたりすると、
今よりもっと住みやすい世界を予感させてくれます。
興味深いイベントが目白押しなので、たくさんの方に参加して頂きたく思います。