祖母が視覚障害者でした。

80過ぎまで健康自慢だった祖母は病院嫌いだったために、

緑内障の発見が遅い上に、発見後も通院を中々しなかったので

数回の眼圧を下げる手術を経て、全盲になりました。

 

眼科医が役所で障害者手帳をもらえる、役に立つからと言われて、役所に行き申請しました。

医師の診断書もありましたので、申請自体はスムーズでした。

しばらくして、障害者手帳を発行するから窓口に受け取りに来てくれと言われて役所に行きました。

 

収入があった祖母の場合は、月に数百円程度しか違わないですよとだけ言われて、

障害者手帳以外に特に説明も文章もなかったので、

障害者手帳は収入がある人には、そういうものだと思って数年過ごしました。

 

やがて、全盲の祖母は転倒や粗相を恐れて動かなくなり、1日中寝てばかりになりました。

施設には行きたくないという祖母の希望で、内科医の自宅訪問診療、

訪問リハビリを受けつつヘルパー、ショートを利用して自宅で過ごしていました。

 

しかし、どんなに介護しても、運動させても、車いすで散歩しても体力は衰えるばかり、

痴呆にもなり医者に連絡、連れていく事が増えました。

 

最期の1年は何度も肺炎を起こしていたので、救急車で運ばれ入院など繰り返し、転院先で亡くなりました。

病院に行く際には、障害者手帳、保険などは全て提示しました。

医療費も個室代もちゃんと支払っていました。

障害者手帳を持っていると医療費だけは無料になると知ったのはわずか4日間だけ

お世話になった転院先のケアマネジャーさんが教えてくれたからです。

 

私は他の病院などでも見せたけど使えなかったから、我が家では無理なのでしょうと言いましたが

「そんな事はない、申請すれば戻ってくる」

と言われて救急車で運ばれた病院と役場に行きました。

 

病院でその事を告げると舌打ちされました。

最初から知って無視していたと知りましたが、

申請はその月だけしか返金にならないので、数年分は全くの無駄金でした。

 

もし、転院先のケアマネジャーが教えてくれなかったら、その1ヶ月分さえ戻らなかったでしょう。

役所も長年通っていた個人医院でも病院でも、誰も教えてくれませんでした。

 

障害者手帳を悪用している人がいるのに、

真面目に自営業をしていた祖母が恩恵を受けられなかったのは腹ただしいですが、

何を言っても、役所はそうですか、病院はすいませんでしたでおしまいです。

他の人に聞いてみましたが、「自分で調べて行動しないとだめよ」と言われる方ばかりでした。

 

障害者手帳があっても、それだけでは何もならない、頼れるのは自分だけと思わざるをえない瞬間でした。

私も交通事故の後遺症、介護でさらに体を壊していますから、いつかは障害者になるかもしれませんが、

その際は、役所、医師は頼らず、自分で調べ行動したいと思います。



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