私は医療機関でソーシャルワーカー(社会福祉士、医療福祉相談員)として勤務しています。
業務内容には患者さんへの身体障害者手帳の制度の説明や手続きのサポートも含まれており、
毎日様々な患者さんが相談室に来ます。
相談室に患者さんが来る手段として
主治医の先生から連絡をもらうこと、他の職員が案内していること、
医療機関とは別の機関(ケアマネージャーや保健師など)からの紹介でくること
などが挙げられます。
しかし患者さんが自ら相談室を探して来られることも多々あります。
そして先日、相談室に患者さんが自ら訪問したケースがありました。
その患者さんは骨肉腫と言ってがんの一種の治療をしている30歳代の男性でした。
相談に来られた趣旨を聞くとがんの病気や治療の影響で身体が動きにくくなったと言うことでした。
しかしまだ患者さんは自分で歩くことも出来ており、
主治医に相談しても内臓機能は身体障害者に該当しないとのことでした。
しかし本人はまだ幼い子どもがいるために、生活の役に立てたいと言われていました。
そこで主治医とどの身体障害者手帳が取得できる可能性があるのか、
又、もし取得が可能だったら等級はどれぐらいになるのかを協議しました。
そして協議の結果、取得できるとしても
身体障害者手帳の肢体不自由で5級が限界というのが結論になりました。
患者さんへ5級で使えるサービスを説明をしましたが、
5級の等級では、その患者さんが使えるサービスはかなり少ない状況で
申請するかどうか悩んでしまいました。
その日は検討するということで、一旦面談は修了となりました。
それからしばらくして患者さんが相談室に先日の結論を言いに来られました。
そして患者さんは身体障害者福祉を申請すると決めました。
家で考えた結果、動物園や水族館では身体障害者手帳を持っていると
入場券が安くなったり無料になったりすることがあるというのが決めた要因だそうです。
こちらは生活費を軽減できるような制度を紹介していましたが、
患者さんからしたらそうようなことより、子どもと過ごすことが第一に考えていることが分かりました。
確かに最初の段階で子どもや家族の役に立てるようにしたいという趣旨で来られていました。
生活費を抑えることと先程の患者さんが決めた理由は繋がっていると思いますが、
主な要因としては大きく異なっているのでしょう。
身体障害者手帳と言えば、重度の人がイメージされやすいですが、
ぜひこのように軽度の段階でもっと活用されてほしいです。